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泉美木蘭
2019.4.20 17:31日々の出来事

銀座で日本語が聞こえない・・・

取材で昼間の銀座をばたばた歩いているんだけど、
平日も土曜日もメイン通りの歩道が大混雑していて、
しかも雑踏のなかで聞こえて来るのは、
中国語を
はじめとする外国語ばかりで異様すぎる。

自分が歩いている場所が、日本だと感じられないのだ。
あれっ、ニューヨークに来ちゃったかな、と。
ニューヨークには行ったことないんだけど。

なんとなく歩いていると、いつの間にか旗を掲げた
観光ガイドの後ろに自分がいて、
中国人団体旅行の中に
埋没してしまっている状態。
高級かばん店も、どやどやと人がいて、店員さんは
「ズィス・イズ・ユニセックス、ユニセックス」とか
片言で応対している。
百貨店は入る気がしない。

そんな中、歩道で背後から野太くてずいぶんエエ声で、
「きみ、銀ブラって、知ってるか?」
と聞こえたので、ハッと振り返ったら、

 

ソフトバンクのお父さん犬だった。
人間じゃないのかよ……。

一つ奥へ入って、ギャラリーや画廊の並ぶ裏通りになると
すっかり落ち着くんだけどね。

加納典明さんの個展が開催されているので覗きに行ったら、
写真家でなく、画家に変貌していてめちゃくちゃ驚いた。
知らなかった。

しかも、ビタミンカラーにショッキングピンク、
エネルギーが有り余っている様子だった。
絵を見たら、77歳とはまったく思わない。

最近、須田一政さんが亡くなって、凄い写真家がいなくなる
時期なんだな・・・淋しいなとすごく思っていたけど、
やたらパワーを感じた。

この日、私が銀座で目撃した日本語をしゃべる人は、
加納典明さんとお父さん犬だけだった。

お父さん犬もそのうち中国語しゃべりだしたりして。
どうなっちゃうんだ、この先……。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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