取材で昼間の銀座をばたばた歩いているんだけど、
平日も土曜日もメイン通りの歩道が大混雑していて、
しかも雑踏のなかで聞こえて来るのは、
中国語をはじめとする外国語ばかりで異様すぎる。
自分が歩いている場所が、日本だと感じられないのだ。
あれっ、ニューヨークに来ちゃったかな、と。
ニューヨークには行ったことないんだけど。
なんとなく歩いていると、いつの間にか旗を掲げた
観光ガイドの後ろに自分がいて、
中国人団体旅行の中に埋没してしまっている状態。
高級かばん店も、どやどやと人がいて、店員さんは
「ズィス・イズ・ユニセックス、ユニセックス」とか
片言で応対している。
百貨店は入る気がしない。
そんな中、歩道で背後から野太くてずいぶんエエ声で、
「きみ、銀ブラって、知ってるか?」
と聞こえたので、ハッと振り返ったら、
ソフトバンクのお父さん犬だった。
人間じゃないのかよ……。
一つ奥へ入って、ギャラリーや画廊の並ぶ裏通りになると
すっかり落ち着くんだけどね。
加納典明さんの個展が開催されているので覗きに行ったら、
写真家でなく、画家に変貌していてめちゃくちゃ驚いた。
知らなかった。
しかも、ビタミンカラーにショッキングピンク、
エネルギーが有り余っている様子だった。
絵を見たら、77歳とはまったく思わない。
最近、須田一政さんが亡くなって、凄い写真家がいなくなる
時期なんだな・・・淋しいなとすごく思っていたけど、
やたらパワーを感じた。
この日、私が銀座で目撃した日本語をしゃべる人は、
加納典明さんとお父さん犬だけだった。
お父さん犬もそのうち中国語しゃべりだしたりして。
どうなっちゃうんだ、この先……。